税理士/長野県上伊那郡を拠点として活動する税理士法人さくら中央会計/宮田村、伊那市、駒ヶ根市

 

2011年6月号

 

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事務所通信

 

2011年6月号

数字に裏付けられた経営を行おう

 

 先日、ある顧問先(A社)を訪問させて頂いたときのことです。A社はインターネットにより全国へ物販をおこなっている企業です。ブームに乗って業績を伸ばしていますが、その社長さんと以下のような会話をしました。

最近、忙しくて・・・ 

 

社長「お陰さまで、最近忙しいです。人手が足りないので募集しようと思っています。」
神谷「一人採用すると、売上はどれほど上がるのでしょうか。」
社長「500万円位ですかね。」

 

と言われました。すぐさま、この採用の話は考え直すべきことを社長にお伝えしました。

 理由は、A社の粗利益率が50%程度だからです。人の採用により500万円売上が増加しても、人件費は(社会保険料や厚生費を含めて) 最低でも年間300万円位は必要としますから、利益はマイナス50万円(500万円×50%−300万円)となってしまいます。

「 必要だから 」で経営すると赤字になる

 

企業経営をおこなっていくには、人手や機械、さまざまな経営資源が必要です。

ただし、必要だからという理由だけで投資をおこなっていくのは危険です。必要という理由だけで投資を実行すると、赤字に陥ったり資金繰りが苦しくなったりします。

上記の事例ではないですが、人でも物でも

 

*投資することによりどのような影響があるのか
具体的には、

*利益状況はどのように変化するのか

*資金繰りはどの程度影響を受けるのか

 

といったことをあらかじめ試算しておくことが大切です。

 特に、現状の財務内容が苦しい企業が起死回生とばかりに大型投資をしたりすると、一気に崖っぷちに立たされることもあるので注意が必要です。

 数字に裏付けられた経営をおこなうことは、健全経営にはなくてはならないポイントといえます。

特に売上増加につながらない投資はしない

 

たとえば製造業者が高性能の機械を導入すれば、売上増加につながったり利益率の改善の効果が期待されます。

 しかし、事務所建物でいかに立派なものを建設しても、1円も売上増加につながりません。むしろ、電気代や様々な経費が今以上にかかってしまうのがオチです。

現状の企業環境は非常に厳しくなっていますので、売上や利益に通じない投資は極力避けるのがセオリーです。
また、一旦投資を実施した場合、元には戻せません。一度、建設した事務所建物を取り壊し、借金をチャラにすることはできません。この点も投資の注意ポイントです。

 結論として、投資は経営の将来を大きく左右します。くれぐれも慎重な判断に基づいて実施するようにしましょう。

 

 

若葉の季節

 

 若葉・青葉の若々しい季節となり、一年の中で今が一番気持ちの良い、活気あふれる季節の筈である。

 しかし今年は震災があったためか、気候も6月というのに寒くて暖房を入れたり、山に雪が降ったかと思うと、梅雨入り宣言と同時に台風が来たりと、気候も不順で良いニュースは何も無いと言ってもよいぐらいだ。

 けれど月日は容赦なくどんどん過ぎていき、物事や世の移り変わりもせわしい。

 気持ちの面でも、じっくり若葉を見たり、雨の音を聞いたり、田植えの終わった田の面を眺めたりする精神的な余韻も無い。

 このまま年を重ねて良いのかなと思う。
だけどその中で毎日元気よく仕事し、従業員や家族と共に、意義のある毎日を過ごしたいと私は思う。

(飯田から仕事を終えて帰る電車の中にて…)

 

 

H23年度税制改正法案一部分離成立へ

17年ぶりの珍事!?

 

 震災復興どころか政局ばかりのねじれ国会の副作用で成立していなかった税制改正法案のうち、つなぎ法案によって6月末まで期限が延長されている税の軽減措置などについて、ようやく一部分離して6月中に成立する見込みとなりました。

 通常は年末に発表される税制改正大綱がそのまま税制改正に反映されるので、我々もそれを勉強して改正に備えたりするのですが、税制改正法案の修正は、細川政権時代以来17年ぶりのことだということです。

減税項目が成立し増税項目が先送りの傾向ですが・・・

 

 中小企業の法人税の一部が22%から18%になっている軽減措置や、住宅購入時の登録免許税の軽減、認定NPOへ寄付した場合の優遇税制、年金所得者の申告不要制度の創設、従業員を増やした企業への雇用促進税制、証券優遇税制の軽減税率10%の2年延長などは成立する見込みです。

(※【成立項目】参照)

 

逆に法人税の実効税率5%引き下げや所得税の23歳から69歳の成年扶養控除の縮減、給与所得控除額の頭打ち設定、相続税の最高税率引き上げや基礎控除の大幅縮小、生前贈与の孫への拡大などは与野党で継続協議していくということで今回は成立しない見込みです。(※【先送り項目】参照)

 

全てではありませんが、傾向として減税項目が成立して増税項目が先送りされるので、納税者の立場では一見は良かったのかもしれません。しかしながら、震災復興財源協議や社会保障と税の一体改革の中で消費税率のアップ等という話は必ず出てくるので、先送りのしわ寄せも怖い気がします。

なお、確定内容については、今後の法令等をご確認いただく必要があります。

税制改正法案の修正の概要

 

【成立項目】
・租税特別措置のH24.3月までの延長(down)

 (中小企業の法人税率22%→18%の軽減措置、住宅購入時の登録免許税の軽減など約100項目) 
・認定NPOへ寄付した場合の優遇税制(down)

・年金所得者の申告不要制度の創設(down)

・従業員を増やした企業への雇用促進税制(down)

・証券優遇税制(軽減税率10%の2年延長)(down)

 

【先送り項目】
・法人実効税率の5%引き下げ(up)

・中小企業の法人税率の更なる引き下げ(18%→15%)(up)

・所得税の23歳から69歳の成年扶養控除の縮減(down)

・所得税の給与所得控除額の上限設定(down)

・相続税の最高税率引き上げ(down)

・相続税の基礎控除の大幅縮小(down)

・生前贈与の優遇拡大(孫も対象に)(up)

 

(up)(down)は成立または先送りによる増減税効果

 

 

 

 

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