2011年9月号
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税理士法人さくら中央会計
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かけはし 2011年9月号
「転ばぬ先の杖」を持ちましょう
10年前と現在の状況の違い
日本では今や「失われた20年」(失われた10年から20年になりつつある。)と言われ始めています。確かに10年前も景気は決して良くは無かったのですが、企業の財務的な体力はまだまだありましたから、社員のリストラや給与カット、不要な営業所等の閉鎖、徹底した経費の削減をおこなえば、どうにか利益がトントンの姿を描くことができました。
これに対して、現状ではデフレや景気の悪化によって、必要最低限の売上を確保するのも難しく、前述のリストラや賃金カット、経費の削減では追い付けない状況になりつつあります。とにかく売上が少なすぎるのです。
人間でも最低限の食事を取らなければ生きていけないのと同様に、企業も最低限の収入が無ければ生きてはいけません。この地域では、一部の製造業では利益を確保されているところもありますが、小売業・卸売業・建設業などでは総じて非常に厳しい状況におかれているというのが実態かと思います。
どうして"夜逃げ"が起こるのか
最近も時々倒産の話を聞きますが、最悪の場合においては夜逃げをしたなどと言う話を耳にします。
資金が底をつき、事業を継続することが困難な場合、一般には弁護士に依頼して、法律上の倒産である破産等の道を歩みます。ただし、弁護士もボランティアではないので弁護士費用や裁判所への申し立て費用が必要となります。これらの金額は負債の金額(銀行借入金や債権者への買掛金など)や債権者の数等により変動しますが、規模の大きな倒産になると、百万円単位の費用が必要になるとも言われます。
苦境にある場合でも経営者がこれらの知識を持っており、資金繰りがいくら苦しくてもこの資金を確保していればよいのですが、その資金にまで手をつけてしまうと弁護士費用等を支払うことができず、夜逃げせざるを得ない事態に陥ってしまいます。だからこそ、苦境下にある経営者であっても、債務整理のための資金は残しておく必要があるのです。
その他にもこんな費用がかかる
その他にも倒産の際には費用がかかります。たとえば、倒産では社員を解雇することになりますが、即時解雇ですので一ヶ月分の解雇予告手当の支払が必要となります。
お金が無いから倒産するのですが、お金が無いと満足な倒産もできないのです。
この苦境に歯を食いしばって立ち向かっている経営者の皆さんには本当に頭が下がります。
ただし、頑張るだけでは問題は解決しません。今月の回報の話題だけでなく、困ったことなどがあれば、できる限り早くご相談ください。
不動産を手に入れたらすぐ登記を!!
不動産(土地・建物等)を手に入れたらすぐ登記をして、契約書と領収証は絶対に保管しておいて下さい。
例えば、土地を買ったり相続や贈与によって手に入れ、そのまま登記せず放っておいた間にその土地を取得した人が死亡してしまったとします。そうなりますと、残された家族は大変です。問題はいくつもあるからです。
@その間の経過が良く分からない
A契約書・領収証がない
Bその間の固定資産税の問題
Cその土地の相続権は誰に行くか
D場合によっては孫にまで相続権がついていく
E元の地主から時効取得で請求されることもある
F売ろうとしても所有者を変えなければならない
上記のような難しい問題が起こる可能性があり、世に言う相続争いにもなりかねません。
そしてこれを解決するには、多くの日数と経費がかかることもあります。
ですから、最初にも言いましたがくれぐれも、不動産を手に入れたら
・すぐに登記をする
・契約書と領収証は保管する
この二点を忘れずに守っていただきたいと思います。
マイカー通勤の通勤手当限度額が改正されました
6月22日に成立した平成23年度税制改正について、6月30日付の官報で詳細部分が明らかとなりました。
このうち今回は、主にマイカー通勤者に影響の出る通勤手当の限度額改正についてお届けします。
現状の取り扱い
事業者が、従業員に通勤手当を支給している場合、その通勤手当のうち一定の金額まで所得税や住民税がかかりません(非課税)。
非課税と言っても、この非課税となる金額は通勤距離や通勤のために利用するもの(電車、マイカーなど)に応じて異なります。
例えば、マイカー通勤者は、右表のとおり通勤距離に応じて非課税の金額が設けられています。
ただし、下表BからEの非課税金額は、それぞれの金額よりも、仮に公共交通機関を利用した場合の運賃相当額が高ければ、10万円を上限にその運賃相当額が非課税金額となります。
『通勤距離に応じた非課税金額』
通勤距離(片道) | 非課税金額(1ヶ月あたり) |
---|---|
@ 2km以上 10km未満 |
4,100円 |
A 10km以上 15km未満 |
6,500円 |
B 15km以上 25km未満 |
11,300円 |
C 25km以上 35km未満 |
16,100円 |
D 35km以上 45km未満 |
20,900円 |
E 45km以上 |
24,500円 |
【例】
従業員Aさんは会社へマイカー通勤しています。自宅から会社の距離は片道34qあり、会社からは毎月通勤手当として20,000円の支給を受けています。この場合の通勤手当にかかる非課税金額を考えてみます。
@.通勤距離に応じた非課税金額
上記の表より、片道35q未満なのでCの16,100円です。
A.公共交通機関を利用した場合の非課税金額
合理的な通勤経路による一ヶ月当たりの定期乗車券の額が24,610円だったとします。
この場合@<Aのため、24,610円が非課税金額です。Aさんの通勤手当20,000円は全額税金がかかりません。
改正後の取り扱い ※いわゆるマイカー通勤者が対象です!
ところが、今回の改正により、上記ただし書き部分が削除されました。つまり、『通勤距離に応じた非課税金額』しか適用できません。上記の例でいえば、Aは使えなくなり、@の16,100円が非課税金額となります。そのため改正後Aさんの通勤手当20,000円には、差額の3,900円について税金がかかるようになります。
この改正の適用開始は平成24年1月1日以後の支給分からとなります。マイカー通勤者を雇用されている事業主にあっては、改正後の影響を検討しましょう。