2011年11月号
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税理士法人さくら中央会計
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かけはし 2011年11月号
商売の常識が利益に与える影響
私たちが日頃生活し、経験を積み重ねる中で、常識として持ち合わせているものがあります。
「中央アルプスに島田娘が現れる頃に田植えをすれば良い。」とか「○○で取れたお米は特に美味しい。」などです。
商売にも、先人達が様々な経験を積み重ねる中で築き上げた常識というものがあります。
1.「寿司屋」と「ラーメン屋」ではどちらが儲かる?
寿司屋は生ものを扱います。よってネタの原価率は高くなります。一般に40%程度といわれています。これに対し、ラーメン屋は原価率が30%程度です。利益率だけから言うとラーメン屋の方が高いのですが、単価は当然寿司屋の方が高くなります。
これらの数値は経験等から得られた常識です。常識を知らずに、「お客様に最高の物を食べていただきたい!」という職人意識で寿司屋が原価率50%で商売するとまず採算には合いません。理論的な裏付けはありませんが経験等に基く商売の常識です。
2.人件費の割合は?
私は常々「 経営の改善を考えるには支出額の大きい勘定科目のものから見直しましょう 」とお話ししています。支出額が大きいと言えば、まず人件費です。
人件費は一般には毎月の給料や賞与のほか、社会保険料等の法定福利費や社員の食事代等の福利厚生費が含まれます。人件費が適正であるかは売上総利益、世間一般で言う粗利益との関係で見ます。
人件費は売上総利益の50%以内に抑えよ
というのが経営の常識です。前述の寿司屋で見た場合、売上高の40%が原価ですから粗利益は60%となり、粗利益の半額すなわち売上高の30%程度に抑えないと健全経営が困難になると言えます。
また、自社の粗利益が5,000万円であり、一人あたりの人件費の平均額が500万円とすると適正な従業員数は10人ということになり、実際の社員数が12名とすると単純計算では2名が余剰ということになります。経営改善のためには「生産性をあげるなどして人件費を引き下げる」ことが目標となります。
3.数字を通して経営を考える
上記以外にも、
販売費・一般管理費は、売上高の15%以内に抑えよ
など様々な常識があります。これらを無視して単に頑張るだけでは利益獲得は困難になります。
数字を通して自社の経営体質の善し悪しを判断し、改善の糸口を見つけることが大切です。ただし、数字だけに基いて寿司屋さんが急に料理の質を落としたり、社員の士気が落ちたりすると、経営改善が逆効果になってしまうので注意が必要です。
「自社の業種の適正な粗利益率はいくら?」「自社の過大な経費科目は何ですか?」など、ご質問やご相談があればドンドンお寄せください。
人には笑顔で!!
私は職業柄、大勢の方に接する機会がありますが、少なくとも100人のうち98人は、必ずと言って良い位に (その人が口に出す・出さないは別として) 心配事や悲しみ、苦しみを抱えているように思います。
最近のように世知辛い世の中にあって、感情の動物と言われる人間である以上、いつもニコニコしていることは難しく、喜怒哀楽が顔や態度に出てしまうのは当然かもしれません。
誰だって、毎日を平和に穏やかな気持ちで暮らしたいと思っているでしょう。けれど、どうしても困ったことや心配事、面白くないことがあると態度に出たり顔に出たりします。
だから昔からの諺『目は口ほどに物を言う』の通り、キツイ顔になってしまい、ニコニコしたくてもそれが出来ないのが普通です。
人の笑顔とは顔の形ではなく、その時の環境や感情が目や口に出てしまうのです。そうすると、直ぐに他人にも不快な気持を与えてしまいます。
そのことをリンカーンは『人間は40歳を過ぎたら自分の顔に責任を持て』と言ったそうです。
世の中の人はすべて毎日を平和で穏やかに暮らしたいと希(こいねが)っています。
自分の不機嫌な気分のせいで相手に対して不愉快な気分を与えてしまうことは、決して良いことではありません。
そこで、自分の気持ちやその時の心は心として、大きな気持ちを持って、少なくとも人に接する場合には明るい笑顔で接したいと思います。
それによって他人も良い気分になり、お互いに良い付き合いが出来ると思います。
時効の「消滅時効」と「時効の中断」について
「債権」(特定の人に対して特定の行為を要求できる権利のこと)には時効があります。
民法や商法には債権の消滅時効について規定があり、一般債権は原則10年、商事債権は原則5年とされています。私たちの日常取引において比較的関係のあるものとしては・・・
@請負人(建設業者)の公示に関する債権や約束手形の振出人への請求権は 「3年」
A生産者・卸売・小売店などの売掛金債権は 「2年」
B旅館や料理店の宿泊飲食料・運賃の債権は 「1年」
この期間を経過すると時効が成立し請求権が消滅するとされているので、「時効だから払わない!」と言われればそのままとなってしまいます。
消滅時効期間が経過する前に打つ手はないのでしょうか?
打つ手はあります!「時効の中断」という制度です。
「時効の中断」とは、それまで進行してきた時効期間がまったく効力を失うことをいいます。方法として、「請求」「差押え・仮差押えまたは仮処分」「承認」などがあります。
「請求」 とは
取引先に対して裁判を起こしたり、支払督促の申立てをするなど裁判上で請求する事をいいます。請求書を送っておけば時効が中断すると思っている人が結構いますが、請求書を送ることは民法上は「催告」にすぎず、時効期間を6ヶ月間延長する効果しかありません。
また、「催告」のによる時効期間の延長の効果は最初の1回だけです。
「承認」 とは
取引先が債権の存在を認めることをいいます。取引先が「債権確認書」に署名押印すると、取引先が債務を「承認」したことになり、時効期間がゼロにリセットされます。
日頃から、相手の取引態度・風評・情報などを入手し、貸し倒れを起こされないよう不断の注意が必要です。