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2013年5月号

 

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事務所通信

かけはし 2013年5月号

景気が良くなると資金繰りが苦しくなる?

 

  株式市場は昨年末以来、急速に値上がりしていますし、新聞などを見ると上場企業では利益が前期比○割増加といった記事が目立つようになってきています。しかしながら、私ども中小企業には好景気の波がまだまだ届いておらず、一部の製造業や建設業などで受注の見積りや発注の話が増え始めたかな、といった現状です。

 早く好景気の波が届いて欲しいと思うのですが、必ずしも手放しでは喜べない部分もあります。転ばぬ先の注意ポイントを述べますので、今後の経営にお役立て下さい。

景気が良くなると資金繰りが苦しくなる

 

 景気が良くなれば受注が増え、売上が増加します。売上の増加に比例して、仕入や外注費なども増加します。注意ポイントは仕入や外注費は売上に先行して増加し、その分の資金が先に流出し、売上の入金はそれに遅れるということです。

 特に手持ち資金に余裕のない企業は注意が必要です。売上が増えれば増えるほど、上記の理由により、資金繰りが苦しくなってしまうのです。

苦しい資金繰り打破の手法

 まず、資金繰りを改善するには、どの時点でいくら資金が足りないのか、が分らなければなりません。

 そのためには何よりも「資金繰り表の作成」が必要です。

 中小企業では資金繰り表を作成されていない企業もありますが、特に月々の売上等に大きな動きのある製造業や建設業では作成が必要です。正しい航海図がなければ、目的地に向かうことができないのと同じ事です。資金繰り表は健全な経営の道筋を表してくれる航海図です。

資金繰りをどのように改善するか

 

 資金が足りない場合、まずもって頭に浮かぶのは金融機関から資金を調達することですが、それ以外にもいくつか資金繰り改善の手法があります。

具体的には、

  1. 仕入金額の支払いに手形等を使い、入金時とのタイムラグを少なくする。
  2. 仕入や外注の支払いを伴わない加工賃収入を得る方法にする。
  3. 建設業の場合には前受金の入金を検討する

などです。

 

 また、過去に発行した支払手形の決済がある企業では、加工賃収入に変えたことにより入金額が大きく減少し、手形決済ができない場面が発生するケースもありますので注意が必要です。

 いずれにしても、資金繰りは企業経営の大きな要です。足りないでは済まされないので慎重に経営のかじ取りをしましょう。

 

贈与税と除斥期間(時効)について

 

 先日、お客様との会話の中で贈与税の時効について聞かれる機会がありました。今回は、その関連で、代表的な事例を紹介させて頂きます。

 

【事例】

  1. 昭和60年3月、父親が息子に不動産を贈与したが、その際、「父親は、息子に不動産を贈与し引き渡すとともに、息子からの請求があり次第、所有権移転登記をする」という内容の「公正証書」を作成した。
  2. 平成5年12月(贈与より8年後)、この贈与を原因とする不動産の所有権移転登記をした。
  3. 平成7年7月、息子に対して、税務署よりこの贈与に関する贈与税(約1億円)と無申告加算税(約1,600万円)が課せられた。
  4. 納得いかず、裁判になったが、その結果、税務署が勝った。

 

分かりやすいように内容を簡略化しています
(参考:贈与税の除斥期間6年)

 

 

 贈与については、「書面によるものについてはその契約の効力の発生した時、書面によらないものについてはその履行の時」を課税時期と定めています。

 しかし、この基準を適用しますと、上記の事例のように、公正証書など、書面で不動産を贈与し、いつまでも所有権移転登記をしないと、課税庁において贈与の事実を把握できないままに、課税権が時効消滅してしまい、その後、所有権移転登記をすれば贈与税の負担を免れることになってしまいます。

 しかし、裁判所は、このような税逃れを認めません。上記の例では、控訴、上告も斥けられました。裁判例は、租税回避行為があった場合、行為それ自体を無効とする例が多いようです。現預金についても同様です。

 資産・所得の移転には必ず税金が発生するのが大原則になりますので、そのような場合には、事前に必ず、私どもにご相談ください。

 

 

伸びる企業とは

 

 何の特徴も無い一般的(平均的)な企業は、価格競争をもろに受けると衰微するが、その企業独自の長所を持っている企業は、取引先から評価され発展する。

 

では、その独自の長所とは

  1. 他社より 安い
  2. 他社より 製品(商品)が良い
  3. 他社より 早い
  4. 他社より 対応が良い
  5. 他社より 親切である

 

これらを実現するのは、中々難しいが、之をやるのが経営である。

 

 勿論、商いは元にあるので、仕入れや材料の購入から吟味することは当然あるが、あくまでも採算(損益)を度外視しては倒産に追い込まれてしまう。

 それには先ず、良い設備と環境が大切であるが、お客様を大事にする気持ちが基本であり、担当者に任せ放しにせず、各部署に責任者を決定し、それぞれ目標通り運営されているかどうかを常に監督、指導することが重要である。

 

 

消費税の処理には注意を!!

 

 先日、ある会社で税務調査がありました。調査立会いのなかで、税務調査官が車検費用の明細を細かく見ていました。この会社は所有する車両が多く、毎年多額の車検費用が発生しております。

 調査官は車検時における重量税・印紙や自賠責保険料についての課税処理の扱いを担当者に確認をしました。 この会社は租税公課や保険料の振替仕訳を適正に処理をしているため、当然何の問題もありませんでしたが、実際にこんな細かいところまで調査をするのかと正直に思いました。消費税が増税されると、この様な消費税の調査も増えるとも思いました。

 又、司法書士等に支払う費用(登録免許税等の立替金が請求額に含まれている場合があります)の扱いも確認をしました。 このように消費税がかかるものとかからないものが請求書等に混合して支払う費用があります。

 

例えば・・・

・接待のゴルフ代によるゴルフ場利用税

  (この勘定科目は租税公課ではなく、接待交際費の課税対象外となります)

・温泉の利用による入湯税

・ガソリンスタンドの給油取引による軽油取引税など

 

 

 これらの課税区分の処理を誤りますと、消費税計算の修正を行う可能性があります。このぐらいの金額であれば許容範囲と思われますが、税務署もそんなに甘くはありません。

 今現在、7割以上の企業が赤字となっているわけで、赤字の会社でも税務調査は行われます。これだけでも税金がとられるわけですので、伝票の記帳などは精細な注意が必要かと思います。毎月、必ず発生する費用については仕訳パターンを登録すれば非常に簡便的だと思います。

尚、消費税の免税業者や簡易課税制度を選択されている企業は、このような処理をする必要はありません。

 

 

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