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2022年11月号

 

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事務所通信

かけはし 2022年11月号

自社株の所有者を見直す

 

 本年に入ってから「相談が多いな」と感じる話題に「自社株」があります。

 中小企業の場合、特に小企業では配当金を出す企業もまばらですし、所有を続ける弊害等も目先ではありませんので、そのまま放っておかれることが多いものです。

 ただし、株主からの買い取り請求などがきて、初めて「これはどうしたものか」と途方に暮れるのも自社株がもつ特有の事象です。

今月は自社株について考えてみたいと思います。

分散化した株主

 

 過去の経営において、その時々の事情があるのでしょうが、「退職した社員がいまだに自社株を保有している」「親戚の叔父が同様に保有している」といったケースが散見されます。

 現状では特段問題が発生しなくても、将来的にその方々が代替わりすれば、その株式は相続によって、血縁や関係性の薄い配偶者や子に所有権が移ります。

 つまり、会社に恩義があったとか親戚で応援してきた方々から関係性の薄い方々に株式が異動するのです。

 彼らにとっては、恩義や応援よりも「金銭価値のある株式」にしか自社株が見えないかもしれません。「この際、自社株を会社に買い取ってもらおう」、と考える方々も出てきます。

  ちょっとでも知識があって、インターネット等で調べれば、「これは結構高い値が付きそうだ!!」ということで、法外な値段での買い取り請求をしてくるケースがあります。

いくらで買えばよいのか

 税務上、いくらで買えば問題が発生しないかは「株式の買主」が誰かによって変わってきます。

 

買主が同族株主や自社の場合 → 相続税評価額で評価した金額で購入しなければなりません
                (一般に額面金額より高く、時には数倍になることもある)

買主が従業員や第三者の場合 → 昔の額面価額で購入してかまいません。

 つまり、上記の事例で「退職した従業員が持っていた株式を自社が購入する」となると、利益が出ている場合、額面の何倍かの金額で買わないと従業員も手放さないでしょうし、税務上も問題が起きる可能性があります。

早めに問題の芽を摘み取る

 

 「中小企業の株式は経営者やその後継者など、経営の本流に携わる人が保有する」というのが原則です。

分散化しているならば、本流である株主や自社が保有すべきです。ポイントは、

  • 株式は長時間かけて徐々に買い集めて集約する。
  • 株価が安い時に買い集める。
  • 「従業員持ち株会」や「中小企業投資育成株式会社」をうまく利用する。

などです。

いずれにせよ、問題が表面化する前に、その芽を摘み取ることが大事です

。心配になられた方は是非早いうちに当事務所にご相談ください。

 

社長 神谷正紀

税務通信 

 

収入300万円以下の副業も事業所得になります!ただし帳簿書類の保存が必要です

 

 かけはしの令和4年9月号で、「収入300万円以下の副業は事業所得ではなく雑所得になる!?」という記事を掲載しましたが、パブリックコメントの受付締切までに7000件を超える意見が寄せられ、大幅に修正されることになりました。

 10月7日に公表された修正案は「所得に係る取引を記録した帳簿書類を保存すれば事業所得にできる」という内容になっています。300万円という金額で線引きするのではなく、帳簿の有無で区分することになりました。

改正通達のポイント

 

  • 本業か副業かは問わず、記帳・帳簿書類の保存をしていれば、事業所得として区分できます。
    (逆に記帳・帳簿書類保存をしておらず、かつ収入300万円以下の人は、一律に雑所得として区分されます。)
  • 事業に関係ない支出を経費計上した場合に、必要経費の否認がなされる可能性は従来と同じですが、記帳・帳簿書類の保存があれば、事業性そのものを否認されることは基本的にありません。
  • 発注者から帳簿書類の提供が無く、現金支払いを受けている場合は、取引発生都度、自分で帳簿を付けておくことが必要です。 

事業所得と雑所得の区分に関するイメージ

 

 

 改正通達の考え方をざっくり解釈すると、記帳・帳簿書類の保存をしている人はちゃんと仕事だと認められるけれど、記帳・帳簿書類の保存をしていない人は仕事だと認めてもらえないということになるでしょうか。

 いずれにしても記帳・帳簿書類をきちんと保存しておくことが必須となりますので、日ごろから帳簿付けを習慣化しておくことが大切です。

 

中塚 雅博

 

事務所からのお知らせ

年末調整の準備を始めましょう!

 

令和4年分の年末調整は昨年(令和3年分)と同じ手順となります。

 例年、税務署より源泉徴収義務者の方向けに送付していました「年末調整のしかた」、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」及び「源泉徴収税額表」のパンフレット等に代えて、リーフレットが送付されます。(例年と郵送されるものが変わります。)

 税務署主催の年末調整説明会については、実施していませんので、

国税庁の「年末調整がよくわかるページ(令和4年分)」にアクセスしてみて下さい。

年末調整の手順等を解説した動画やパンフレット、年末調整時に必要な各種様式などがこのページから入手・閲覧できます。

 また、年末調整手続きの電子化を進めています。電子化とは、これまで手書き等で作成していた年末調整書類について、パソコンやスマホで作成し、印刷せずにデータのまま給与担当者に提出するものです。

 従業員さんは質問に答える形式で提出書類が作成できます。勤務先の給与担当者は控除額が自動計算されるので、事務負担が軽減されます。

 電子化を促進するため、さくら中央会計では「オフィスステーション」というWebシステムをお勧めしています。年末調整の効率化をお考えでしたら、当社までお問い合わせ下さい。

保険料控除証明書が届いています。

年末になって慌てないように、年末調整書類の準備を始めましょう。

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