2023年2月号
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2023年2月号
インボイス制度に見える税務デジタル化の方向性
年末調整は無事終わりましたか?
年末調整が終わると、税務の業務の一年も終わったという感があります。
ここ数年、年末調整をしていて感ずることですが、過去に比べると非常に複雑になっているということです。
例えば、生命保険料控除は旧制度に新制度、一般生命保険に年金保険、介護保険の区分、扶養控除も16歳以下は子供手当、16歳からが一般扶養、19歳以上は特定扶養、挙句の果てには基礎控除も本人の所得によって控除額が変わるなどです。ベテランの税理士でも手計算では間違えてしまうのではないかと思うくらい複雑です。
とても、パソコンの力を頼らなければ計算できない状況です。
インボイス制度導入に見る混乱
一方、本年10月より消費税のインボイス制度が導入されます。
私が役員を務めさせていただいている税理士会の政治連盟では、インボイス制度の不備を訴え、その導入に反対していましたが導入されることとなりました。政府はその不備を解消しようと12月に対策を打ち出してきました。
具体的には一定の事業者については1万円未満の仕入等についてはインボイス不要とか、免税業者からインボイス発行業者になった場合には納税額を売上税の2割にするとかです。
ただし、これらの対策は消費税法をより複雑にし、混乱や誤りを招く恐れがあるようにも感じます。
税務のデジタル化の側面
複雑化する税制に対応するにはパソコン等を利用した体制をより高度なものにしていかざるを得ません。
デジタル化の先に見えてくるのは様々な取引のガラス張り化です。
例えば、インボイス制度が導入されれば、パソコンにインボイス番号を入力するだけで取引の実態が一発で見えてくるはずです。過去に脱税の報道がされ、売上高の除外や架空経費の計上などがマスコミに取り上げられ、札束や貴金属が床下から見つかったなどのニュースがありました。
これらの事件は利益除外により得た金品を隠し持つという、まさしくアナログの世界で発生するものと思われます。税務のデジタル化によって、これらは大幅に減るものと思われます。
効率化も必要
税務に限らず、複雑化する世の中を効率よく業務を進めるためにはデジタル化が必要不可欠です。“日本は世界に比べて生産性が低い”とよく言われますが、効率化するためにはDXやAIというノウハウが必要です。私ども中小企業が個々に対応することは困難ですが、専門業者からの情報提供などには即応して判断をすることが大切です。効率化しても人間自体の対応が遅くなってしまえば効果は半減です。効率化=スピードです。これらに対処するためには若い社員の力も必要でしょう。
私共も経理業務を中心にして、皆様の経営の効率化を支援していきたいと思いますし、税務に関する情報等もスピーディーに提供していきますので、よろしくお願いいたします。
税務通信 贈与・相続に関する大改正
令和5年度(2023年度)の税制改正において、資産移転(贈与・相続)について大きな改正がありました。
メジャーな相続税対策である年間110万円まで非課税となる暦年贈与課税の制度は残しつつ、相続時の取り扱いが大きく変わるのと同時に、相続時精算課税制度を使いやすくする内容が盛り込まれています。
相続時精算課税制度の見直し
相続税を計算する上での暦年贈与加算の見直し
教育資金の一括贈与にかかる非課税の延長 →条件が厳しくなるが延長
教育資金として使われていない残額について課税を厳しくするなどの見直しを行った上で、適用期限を3年延長する。
結婚・子育て資金の一括贈与にかかる非課税の延長 →条件が厳しくなるが延長
結婚・子育て資金として使われていない残額について課税を厳しくするなどの見直しを行った上で、適用期限を2年延長する。
ますます複雑になる贈与と相続、、、、、さくら中央会計にご相談ください!!
太田 隆一郎