税理士/長野県上伊那郡を拠点として活動する税理士法人さくら中央会計/宮田村、伊那市、駒ヶ根市

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新建新聞 [平成15年2月28日]

資金の流れに目配りせよ!建設業、勝ち残りの条件〜再生へのシナリオ

 

 神谷会計事務所(上伊那都宮田村157、TEL0265-85-2290)の神谷正紀税理士は2月20日、日経BP社(日経コンストラクションなどを発刊)の関連会社が都内で開催した、建設業の再生フォーラムで、「建設業、再生へのシナリオ」と題して講演した。
工事量が減少する中で、受注量に見合ったスリムな経営体質に変身、健全経営に努めることで生き残りを図ろうというもの。神谷税理士が話した講演内容のポイントをまとめた。

経営力の強化を

 

建設業界には、受注・完工高至上主義の経営者が多い。が、何のために建設業経営をやっているのか。10億円の受注高があっても、借入金が5億円、純利益が1000万円程度で、完工高が7億円じゃ何にもならない。
経営事項審査より大事なのは経営対策。経審を良くするのはテク二ックの世界。実態は何も変わっていない。いい点数を取ると安心する経営者が多いが大きな間違い。経審より経営を強化することが重要だ。
受注量が減ったら、利益はどれぐらい減るのか−。完工高10億円の標準的指標の建設業者の例をみると、経常利益は2100万円あったのが、10%減ると600万円、20%減では1980万円の赤字、40%減では6060万円ものマイナスとなる。受注量が減れば、材料費などの出費はそれだけ減るが、労務費や一般管理費などの固定経費は現状とほとんど変わらない。受注と利益は比例しない。これからの建設業経営は、利益だけを見ていたのではダメ。お金(資金の流れ)に目を向けなければならない。
建設業者が陥りやすいのは、お金が回っているという錯覚。お金を区別しないと、あるお金がごちゃまぜで使われ、先食い体質となる。これでは完工高が落ちたらトタンに資金繰りが苦しくなる。建設業の場合は、年度末が忙しいが、4〜6月の夏場にかけて利益を食いつぶしていく。小売業なら、過去データから将来予測を立てられるが、建設業の場合はそうはいかない。タイムリーな過去の数字と今後の受注予測の把握が極めて重要となる。

場合によってリストラも

 

  現在は、工事量と業者数がアンバランスな状態。いずれはとう汰されて適正な時代もやって来る。受注予想によっては、リストラしてスリムな体質をつくる必要がある。リストラは従業員の首切りだけのことではない。それ以外に、(1)事業リストラ(儲からない事業はやめる)(2)業務リストラ(現場の儲けをいかに上げるか)と(3)財財務リストラ(儲けが上がっている範囲で銀行に返済してしまう)−の3つがある。事業・業務リストラは、いかに会社に入ってくるお金をいかに多くするか、財務リストラは、会社から出て行くお金をいかに少なくするかということ。

命運は経営者次第

 

財務の健全化はまず、経営者自らが、再建の意識を持っているかにかかっている。コンサルタントは、アドバイザーで最後は経営者次第。きちんとした財務状況の把握がまずは出発点。それによってお葬式をする決断も場合によっては必要。どういう手法を用いれば、再建できるか編み出すことがポイントとなる。
再建計画を立てたら最後は金融機関の力を借りる。不断の努力を続けること。計画ができたところで安心してはいけない。歯をくいしばって再建されるまで頑張り続けてほしい。

 

 

 

 

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